紬きものコラム
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当スタジオで扱う「紬(つむぎ)」は、きもののカテゴリーのひとつです。
日本では千年以上も前から時代や立場に合わせた装束が様々ありますが、1900年代の初めごろまでは庶民の日常的な
衣服でもありました。きものが着られてきた背景には、日本の繊細さと合理性がうかがえます。
紬のきものとは?
「紬」とは「きもの」の種類のひとつ
きものは正絹だけでなく綿や麻でも作られますが、紬は「紬のきもの」とも言い、先に糸を染めてから織り上げるものを指します。素材は正絹(シルク)が大半で、平織りのため丈夫で長持ちなのが特長です。紬はフォーマルな場面には不向きで普段着の位置づけですが、織り手に繊細な技が求められるものが多く、高級品も多く、上質なものほど貴重です。
格式によるセオリーがないため、帯の合わせ方などにセンスのよしあしが問われる「趣味人」向けのきものとも言われています。
紬は何から作られる?
紬の素材は、綿や麻に加え、正絹(しょうけん/シルクのこと)が主流です。
現代では利便性から化学繊維やウールも多用されていますが、昔から紬は正絹が中心です。蚕が繭を産み、そこから絹糸を作り、経糸と緯糸を直交させて平織りにしたものが紬です。繭から引きだした糸を織るのはどのきものも同じですが、反物にしてから染めるきものとは異なり、先に糸を染めるため、全体に繰り返し柄が入っており、日本各地それぞれに柄や織り方に特長があります。また、正絹の中でも最高級のものは羽二重と呼ばれ上品な光沢が特徴で、かつて日本では高品質なものが作られ海外へ輸出していました。
日本の伝統衣装「きもの」とは?
きものは呉服とも呼ばれます
きものには既製品がなく、すべてオーダーメイドです。呉服とはきものなどの和装生地のことで、呉服屋と呼ばれる着物専門店で反物の状態で販売されています。そして購入するとお店の人や和裁士(着物を仕立てる職人)などがお客の体型を測りそれに基づいて縫われます。
きものを縫って作ることを「仕立てる」といい、その場で手に入れることはできず、後日完成品を受け取ります。和裁士は生地の特性とお客様の体型を考慮し、すべての工程を手作業で行います。
ロールの反物がパーツ別にカットされますが、きものは全て長方形のパーツで構成されています。ボタンやファスナー、ギャザーやタックなどは一切つけず、ストレッチ生地も使用しません。
きものが手縫いで仕立てられる意味
理由は、メンテナンスにあり
きものは正絹がほとんどなため、頻回な洗濯は行いません。そのため肌着を身に付け、衿には半襟と呼ばれる小さな布を付け、それらをこまめに洗います。とはいえ、繰り返し着て汚れが気になってくると、シミや汚れを確認し部分的な洗浄で済ませる場合も多くありますが、専門のクリーニング業者に依頼します。それは「洗い張り」と呼ばれ、縫い目をほどいて四角に生地に戻して洗い、縮みやねじれを防ぐために四角く乾燥させ、再び縫い直されます。
こうして定期的に解いて洗う前提のため現代でも手縫いなのです。ミシンだと必要以上に生地に穴があいてしまい、美しくないうえにサイズ変更がしづらい、ということもあります。洗い張りのついでに補強をしたり、体型の変化にあわせてサイズ調整も行います。
しかし最近では着物の洗い方の技術が発達したため、縫い目を解かずに「丸洗い」することも増えつつあります。
きものは100年着られる?
きものは体型を採寸して仕立てられ、紐や帯を使って、体型に合わせて着用します。そして洗い張りでメンテナンスが可能なため、母から子へ、子から孫へと何世代にもわたって受け継がれてきています。
表に縫い目が出ないよう、解くときに生地が傷まないよう、和裁士による手縫いが基本です。
和裁士は「和裁技能士」という国家資格があり、織物の柄を着用時に美しく見えるように工夫したり、体の動きや着心地などを考慮しながらきものを縫い上げます。きものの着心地のよしあしは仕立てによっても異なり、和裁士の丁寧さと繊細さが支えているとも言えます。
そして丁寧にメンテナンスされてきたきものは100年着続けられるのです。上質なものを大切に着る、という姿勢で、祖母から孫へと受け継がれてきています。
着用する季節によって仕立て方が違うきもの
きものは表地と裏地の二重の生地を使って縫われ、それを袷(あわせ)と呼びます。暖かい時期には一枚の生地で縫われた単(ひとえ)を、盛夏には透け感が涼しげな絽(ろ)や紗(しゃ)で仕立てられたものを着ます。季節の花や自然、虫などが染められた着物はさらに着用する季節が決まっています。少し早めに着ることが粋とされ、満開の美しい桜を下で桜柄のきものを着るのは無粋だとも言われます。
生地が二重の袷は、生地の伸び縮みや、すべりなどを考慮し表地と内側の生地の寸法が細かく調整され、体に巻いたらちょうどいいように作られています。
きものはどうしてヴィンテージ?
祖母・祖父などから引き継がれてきたきもの
日本にあって既に仕立てられ「きものの形をしているもの」は、肩幅や腕の長さ、胴回り、着丈などが持ち主にピッタリくるように作られたものです。家族と言えども体型は人によりさまざまに異なるため、SMLといった“標準的なサイズの用意”がありません。(現代の浴衣(ゆかた)はサイズ展開されているものもあります)
また、着ていた人がもう亡くなり生前の体型を知らないまま引き継ぐことも少なくなく、丈夫で着方の難しいきものを管理しきれず持て余す人が増えています。
本来ならばぴったりサイズのほうが着ていても気持ちがよく、望ましいのですが、当スタジオでも仕立て済みのきものを貸し出しています。着方の工夫で多少のサイズ違いはカバーできますが、仕立て済みで自分サイズにピッタリの着物に出会えるのは「運がいい」ともいえるのです。
仕立てる前のお試しにも
当スタジオでは、日本人の依頼を受けて着せるプロが、工夫を凝らしてあなたにちょうど良く似合うように着付けます。
扱っている紬は、1970年後半~1990年代あたりに仕立てられたものが中心です。ツヤがあり、ずっしりと重い高級な紬も多数あり、帯を締め気持ちよく着ていただけるよう努めております。ご予約前にサイズをご確認いただき、ご予約後のヒアリングにもご協力くださいますようお願いいたします。
また、着てみて自分用の一枚が欲しいけれど、知識が無くて押し切られそうと不安な方。私もあれこれ押し付けて買わされた経験がありますので、購入のアドバイスもさせていただきます。きもの好きとして一緒に盛り上がりましょう!
(購入のお手伝いは個人的なもので、そこに当スタジオの費用はかかりません)